Note

Grateful Goodbye REVIEWs

雑誌を整理していたら、アルバム「グレイトフル・グッバイ」についてのレビューが出てきたのです。
発売一年経ってから読んでみると、感慨深いものがあります。
こういったレビューをみて今、このページを開いている人だっているかもしれない。
 
 
 
 
[Sound&Recording Magazine] 松本伊織さん
~生楽器の響きと旋律で叙景的に描く”別離”の形~
坂本龍一が近年アコースティック・ピアノに向かい続けているのを見れば分かるように、デジタル全盛の時代においても生楽器には無限の魅力があふれている。その魅力の一つは間違いなく、楽器の持つ豊かな響きだろう。本作を聴くと、吉田靖という作曲家もまた、そんな楽器の響きに魅せられ、意識的になっているクリエイターであると確信した。時に雄弁に、時にミニマルに旋律を奏でるピアノや弦・管は、その響きの中でさまざまな交錯を見せる。楽器の編成や楽曲の文法はクラシックのそれと近いが、本作の音楽性はいわゆるスコア・ミュージックにはとどまらない。エレクトロニカ通過後のエディットや音色の使い方を織り交ぜながら、それぞれの楽曲で目くるめくシーンが移り変わるのが印象的だ。そのさまはまるで映画のカット割のようで、彼の作品が映像的・叙景的と評されるのも頷ける。そんな音の景色の中で通底しているのは、ある種のセンチメンタリズムやメランコリーを帯びたメロディやハーモニー。アルバムのテーマは”別離”だが、単なる物寂しさだけでは語れない”何か”を、吉田は音や響きの選択という方法で十分表現しきっていると感じた。願わくば本作録音時と同じ小規模オーケストラ編成でのホール・コンサートを実現してもらいたい。
 
 
 
 
[bounce] 郡司和歌さん
ダンスや演劇、映像とのコラボなども行う音楽家が、<別れの物語>をコンセプトにした新作を完成。弦楽器やピアノ、ギターなどによる重厚なアンサンブルはこれまで以上に崇高で、狂おしいほど切ない気分を誘う。しかし後半の”chromatic chronicle”における力強いオーケストラ・サウンドはとても希望に満ちていて、ただひたすら別れを嘆くのではなく、最後は明日に繋げていくというストーリーに心を揺さぶられた。
  
 
 
 
僕は、色々な選択が本当に自由になった、僕たちのこの豊かで便利な生活の中で音楽を選んでいる人も多くて、音楽が好きな人にとっては、それは無くなってはいけない、代えのきかないものだと思うことが多いのです。同時に音楽が無くても良いものと考えている人がいること、感じてはいるのだけれど、音楽が聴かせる旋律やリズム、音色などはそういう人たちにとっても、何かのきっかけや転機になると、僕は考えています。
色々な選択や決断を自由に重ね、組み立てていく日々の中で、僕自身は音楽を選び、そして音楽をつくっているということをとても嬉しく思うのです。
 
 

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